建物や不動産も含めて、全ての物は通貨との「価値のバランス」によって変動しています。
この通貨との価値のバランスを読み切る事が出来れば、
その物件が高いのか安いのか、
今が買い時なのかと言う良くある質問に自信を持って答える事が出来ます。
しかし、この通貨の価値は思いの他、非常に好い加減なものであり、
時の政府や中央銀行等の人的にも、また震災や戦争等、
予測不可能な事態にも左右されてしまい、読み切る事は絶対に不可能です。
しかし、現実的には大きなお金を使わなければならないし、
借金もしなければならない。その判断材料が欲しい!
誰もがこのように切望するのは無理はありません。
そんな手探り状態の中で、
唯一信頼が出来そうなロジックの鍵は「家賃相場」です。
これまで日本もバブルやバブル崩壊、
リーマンショック等様々な大きな経済の荒波がやって来ましたが、
その中で一番安定した推移を見せたのが家賃です。
理由は諸説ありますが、理由は単純だと考えています。
大家さんは家賃は下げたく無いのが当然ですが、
上げたくても契約の関係急に上げる事が出来ないと言う事。
また、不動産価格が上がったからと言って、
すぐにサラリーマンの給与が上がるという事にはなりません。
少なくとも1年は遅れて給与が上がって来ます。
借り側にゆとりが出ていない状況で、
不動産価格が上がったからと言って家賃を上げれば、
大家さんが一番恐る空室リスクが高まる為、安易に上げる事も出来ません。
自分で使う家だとしても、「家賃相場」を意識し、
自分の家はいくらの収益を出す事が出来る家なのかを知るべきであり、
これこそが物件の高い安いを判断する指標となるのです。
専門用語では、この計算方法を収益還元法と言います。
収益価格=(1年分家賃-維持管理コスト)÷還元利回り
と言う計算式になります。
例えば、20万円/月で貸せる都心の3LDKで維持管理が2万円/月かかる物件で、
5%の還元利回りの場合、の収益価格は以下の計算で導かれます。
収益価格=(20万円-2万円)×12ヶ月÷0.05=4,320万円
この価格が買おうとしてる物件が収益を生み出す力です。
売買価格と比較してみてどうでしょうか?
ただ、収益価格より高いから買うなと言う事では決してありません。
その分リスクを負っていると言う認識が非常に重要なのです。
自分の家なのですから、豊かさを求めれば必然的にリスクは負うものです。
ただ、この還元利回りの設定には非常に難しいものがあります。
基本は以下の式で求められます。
還元利回り=10年国債金利レート①+不動産リスクに上乗せするレート②
※一般的に都心に行けば行くほど還元利回りは下がり、
郊外へ行けば行くほど還元利回りが高くなります。
②の不動産リスクに上乗せするレートには、
立地・防災・インフラ・街の魅力・駅の魅力・進出企業・住民属性等、
数値化出来ない不明瞭な所が多々ありますので、
高め高めに見積もった上で、自分が負うリスクを認識する必要があります。
取りあえずの基準値としては、
都内であれば、都心3区で5%、23区で7%、郊外9%ぐらい
で見れば良いと思います。