前回に中古住宅・中古マンションを購入する為に必要な見極め方として
大きく3つのポイントを上げました。
1、売り易く・貸し易いか
2、耐震・耐久・耐災性
3、維持管理状況
今回は2回目の、【耐震・耐久・耐災性】についてです。
念の為、用語を定義します。
① 耐震性・・・地震や台風等で破壊しないかどうか
② 耐久性・・・長持ちするかどうか
③ 耐災性・・・災害や人災が起きた際に不安は無いか
一つ一つ見て行きましょう。
① 耐震性について
中古を購入するに当たって調べて行くと、1981年以前の建物は買わない方が良いという意見をよく耳にするかと思います。
この根拠は1981年(昭和56年)に現行に近い建築基準法施工令(以後、新耐震)が施行されたからです。
では、1981年より新しければ大丈夫という事になるのでしょうか。
1995年の阪神淡路大震災では、1981年以前の旧耐震のマンションの4.9%が大破・中破し、
新耐震のマンションの2.1%が大破・中破したというデータがあります。
ようは、新しかろうと古かろうと壊れるものは壊れるのです。
そもそも、建築基準法に基づいた建物とは、「大地震等があった時に壊れないようにする基準」と思っていませんでしょうか?
実は似て非なる考え方で作られています。
建築基準法に基づいた建物とは「大地震等があった時に安全に避難が出来るように壊す」ように作られています。
これは、壊れ無い事を前提にしているか、壊れる事を前提にしているか、ですから、全く考え方が違います。
例えば、柱の脇の壁等は、大地震が来たらわざとここを壊すという事を前提に作られていたり、筋交い材と接合部は木造と鉄骨造でどちらが先に壊れるようにするかが違います。
ようは大地震が来たらどんな建物でも壊れるという事は想定されている事であり
耐震性とは命を守る最低限の建物性能という事です。
そして、この日本に住む限り、建物が壊れる大地震に遭遇する事を想定しておかなければなりません。
では、どこで判断すれば良いのかですが、1981年以降の建物は安全だ、等と言う全く持って無責任な判断基準を参考にするという安易な行為こそが一番避けなければなりません。
戸建の場合は構造計算をするという事も方法の一つですが、マンションの場合は現実的では無く、築年数に対して、劣化がどうか、建物形状がどうか等の極基本的な判断に基づくしかありません。
そして、もし購入した建物が大破・中破し、更地にするという事も想定する必要があります。
特に、中古マンションを購入する場合、「土地の値段」がいくらなのか意識から飛んでしまう方がいます。
万が一、「更地にして土地を売却したら、いくらなのか」ぐらいは危機管理として知って置きましょう。
② 耐久性について
鉄筋コンクリートのマンションについては基本的には耐震性と同じですが、
中古戸建の場合は、床下や屋根裏や点検口等、内部を覗いて判断出来る箇所が多々あります。
これをチェックせずして購入するのは、どう考えても片手落ちでしょう。
建物診断をする事をお薦めします。
数万から高くても10万以内で診断が出来るはずです。
③ 耐災性について
どんなに自分の建物が丈夫で長持ちしたとしても、周辺が災害で大きなダメージを負ってしまうと、大きな影響が出ます。
隣で火事が起きたら逃げ道が無い。消防車が入って来れない。洪水や津波の影響が出る。、、、、。等、様々な事が言えます。
そう言う物件を絶対に買っては駄目という事では無く、リスクがあるという事を知った上で購入するべきです。
地盤が弱そうな地名やその地域に昔から口伝されて来た災害等の情報は馬鹿にしたものでもありません。
解らないもの相手の唯一のリアルな情報とも言えるからです。
また、災害の後、資産価値がどうなるのかという事も危機管理として把握しておきましょう。
先の大地震でも、災害後に資産価値が暴落した地域等が多くありました。
「最悪」の状況に置かれた時、その物件はあなたの生活や安全をどのように守ってくれるでしょうか。
または、どの程度足を引っ張るでしょうか。
大自然が相手の為、読み切る事は不可能です。
しかし、備える事、考える事、リスクを想定して置く事は無数に存在します。
「考え得るリスクを想定せず、安易な情報だけで買ってはいけない」
今回は、どちらかというと買ってはいけない物件というよりも心得ですが
買ってはいけない中古住宅・中古マンションの2つ目のポイントです。
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